放送法制定の歴史のススメ――番外編・年表
放送法制定の歴史について5回に分けて記事を書きましたが、流れを簡単に見渡したり、あれっていつのことだっけと年月日を確認するためには、やはり年表が見やすいのではないかと思うので、まとめてみました。
年 | 月 | 出 来 事 |
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1945年 | 11月 | GHQ民間通信局(CCS)から逓信省に「日本放送協会の再組織」と題するメモ(通称「ハンナー・メモ」)交付。日本放送協会会長に助言するために、各分野を代表して15人から20人の男女を選び顧問委員会を結成することを示唆。顧問委員会は「放送委員会」として発足 |
1946年 | 10月 | GHQの民間通信局(CCS)が逓信次官にあてて、国民が基本的に通信の自由を持つという新憲法に合うように通信を民主化するように指示 |
11月3日 | 日本国憲法成立・公布 | |
11月 | 逓信省が臨時法令審議委員会を設置。通信の関連法令の改正に着手 | |
1947年 | 2月 | 無線電信法改正案作成 |
4月 | 無線電信法改正二次案作成 | |
5月3日 | 日本国憲法施行 | |
6月 | 無線法案のほか日本放送協会法案の作成:電波監理と放送のあり方は別の法律で規律 | |
第二次読売争議、10月には一部の新聞でストライキ | ||
10月1日 | 日本放送協会の顧問委員会である「放送委員会」が放送委員会法案を公表:政府から独立した特殊法人が放送事業を管理するという内容 | |
10月16日 | ファイスナー調査課長代理が方針を示す。ファイスナー・メモ。①放送の自由、②不偏不党、③公衆に対するサービスの責任の充足、④技術的諸基準の順守の4原則が示される。 | |
1948年 | 1月 | 放送法案草案作成 |
2月 | GHQに第一次放送法案を提示。 | |
5月 | 民間通信局から第一次放送法案に修正意見。 | |
6月18日 | 第一次放送法案の国会提出(芦田均内閣):NHKと民放、放送委員会の設置、しかしGHQのプレスコードとラジオ・コードとそっくりな番組規律あり | |
10月 | 芦田均内閣が昭電疑獄事件で総辞職 | |
11月 | 吉田茂内閣発足。第一次放送法案を撤回。独立行政委員会に反対とのこと。 | |
12月 | GHQ法務局が、表現の自由の観点から、第一次放送法のニュース放送に関する原則の全文削除を勧告 | |
1949年 | 3月 | 法案修正:ニュース放送に関する原則の全文削除 |
4月5日 | 日本放送協会の顧問委員会である「放送委員会」消滅 | |
6月 | 逓信省が郵政省と電気通信省に | |
6月17日 | 電気通信省が放送法案要綱を作成し、GHQに提出。放送委員会を廃止して放送行政を電気通信大臣の権限に移し、重要事項に限り総理大臣が任命する「放送審議会」に諮るという内容。 | |
6月18日 | 官房長官および電気通信大臣がGHQ民間通信局バック局長とファイスナー氏と会談。①無線規律委員会(Radio Regulatory Commission: RRC)を総理大臣の下に作ること、②一般放送局を許可すること、③プログラム編集の自由を認めること、④日本放送協会の改組が重要点としてあげれられ、放送法案の次期国会提出が求められる。いわゆるバック勧告 | |
10月12日 | 放送法案を含む電波三法案の閣議決定 | |
GHQ民政局(GS)から委員会の独立性について問題提起。委員会の決定を内閣の決定に完全に従属させる条項(委員長が国務大臣とする条文、および委員会と内閣との関係に関する条文)があり、電波監理委員会が政権をもつ主要な政治権力の支配下に置かれることになるとの指摘 | ||
日本とGHQとの間で激しい議論 | ||
12月5日 | マッカーサーから吉田首相に書簡。委員会は、いかなる党派的勢力、その他の機関による直接的統制または影響を受けないものとしなければならない点が不完全と指摘 | |
日本政府は、電波監理委員会を総理府の外局に設置し、内閣の再議の要求権の規定を削除するなどして、委員会の独立性を確保するよう法律案を修正 | ||
12月22日 | 電波三法の国会提出 | |
その後番組編集準則について修正。併せてNHKの規定を民放にも準用 | ||
1950年 | 4月26日 | 電波三法国会成立 |
5月2日 | 電波三法の公布 | |
6月1日 | 電波三法施行 | |
1951年 | 9月 | サンフランシスコ講和会議 |
10月26日 | 講和条約を衆議院承認 | |
11月18日 | 講和条約を参議院承認 | |
1952年 | 2月12日 | 閣議で木村行政管理庁長官から行政機構改革案構想 |
2月21日 | 電波監理委員会に内容伝達:各種の行政委員会は、審判的機能を主とするものを除き廃止し、その事務は各省に分属。電波監理委員会は廃止。 | |
4月28日 | サンフランシスコ講和条約発効 | |
閣議で「行政機構改革に関する件」として正式決定:電波監理委員会は廃止。郵政省に内局として電波監理局を設け、次長2人を置き審議機関を付置 | ||
8月1日 | 電波監理委員会廃止 |
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